「自筆証書遺言書」の作成方法

こんにちは!教養部門 お金部門(相続)ライターの有賀郁子です。いつもお読みいただきましてありがとうございます。今回は前回のコラムに引き続き、「自筆証書遺言書」の作成方法についてお伝えします。

ステップ1

まずご自身が保有している資産をリストアップします。銀行口座、生命保険、株、金、車、ブランド品の腕時計やバッグ、宝飾品、骨とう品、タンス預金などの現金。不動産は法務局で全部事項証明書を取得すれば正式名称や面積が分かります。次にそれぞれの資産について価値と価格を記載します。口座残高、株、車などは価値・価格が変動しますが、リストアップ時の価値・価格を書いておいてください。
これらの合計金額は相続税試算時の参考になりますし、誰にどの資産を残すのか考える参考にもなります。この時点で要らないものは売るなどして、資産の整理も行っておきましょう。

ステップ2

自分を中心として、法定相続人を書き出します。法定相続人は直系の親族です。その他、法定相続人に入らない子どもの配偶者や特にお世話になった人がいれば、その方のお名前も書き出しておいてください。

ステップ3

誰にどの資産を相続するか決めます。「配偶者は2分の1、子どもは2分の1を人数で割る」など、民法で定められた法定相続分がありますが、その通りでなくてもかまいません。あなたの資産ですから、好きに決めることができます。極端な例ですが、「私、○○○○の目論見書にある資産すべてを、人生に輝きと潤いを与えてくれたアイドルのA君に相続します。」と記載することもできます。実際、時々体の弱いお子さんを第一に考えて資産配分を決定される方もいらっしゃいます。

このように資産配分は自由に決めてよいのですが、後々相続争いが起きないようにするためにも、やはり法定相続分は参考にするとよいかと思います。また必要に応じて、「遺言執行者」も指定しておきましょう。遺言執行者とは、遺言書どおりに手続きなどを実行する権限を持つ人のこと。必ずしも指定する必要はありませんが、子どもの認知、相続人の排除の手続きには必要です。遺言執行者としてよく指定されるのは、一番多く財産を受け取る人。親族を指定すると揉めてしまう可能性がある場合は、弁護士などを指定しておきます。

ステップ4

実際に遺言書を作成します。自筆証書遺言書は、手書きであることが絶対の条件。用紙はA4、上部と右側に5ミリ以上、左側に2センチ以上、下側に1センチ以上の余白を設けてください。罫線が入っていても問題ありません。Wordなどで用紙を作成してもいいですね。内容が書けたら、本人の署名と押印、日付を年月日で記載してください。「令和4年3月吉日」といった書き方はNGです。押印については実印の指定はありませんが、法的効力があるものですので判子をおすすめします。

ステップ5

最寄りの法務局に行き、申請を行います。申請は必ず本人が行わなければなりません。用意するものは、申請書(法務局のサイトからダウンロード可能)、遺言書本文、財産目録、本籍の記載のある住民票のコピー、本人確認書類、手数料3,900円です。禁止事項は、書類のホチキス止めと、封印です。申請が通ると「保管証」が発行され、遺言書は保管証の発行日から20年間保管されます。保管には期限がありますが、期限内に資産や家族構成が変われば、書き直しも必要になりますね。また遺言書と財産目録の他にも、法的効力はありませんが「付言事項」として、家族への気持ちを伝える文面を残しておくこともできます。この付言により、残された遺族が相続内容を理解し、争いを避けることができるかもしれません。

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

投稿者プロフィール

有賀郁子
有賀郁子合同会社インクリースオフィス代表者/ファイナンシャルプランナー&相続士
37歳の時、父の病をきっかけに、地元長野県に帰る。父の介護と他界、そこで遺されたお金を母の生活費のために運用しようとするが、リーマンショックもあり失敗。同時に失業で収入を失い、住宅ローンを抱えるという3重苦。
お金のことを知らなかった、だから失ってしまった。そして当時は誰にも聞けなかった経験から、私があの時会いたかったアドバイザーになることを決意し、9年目になります。
1967年4月生まれ。長野県諏訪市在住
セミナーやウェビナーを通して、今の時代の資産形成を「貯蓄セミナー」として伝え、資産を守り賢く引き継ぐために相続を円滑円満にするための相続セミナーも好評です。
パラレルキャリア専門エール通信

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