ライティング術担当の吉田和歌子(wacoxxx)です。
“同じ言葉”を使っているのに、なんとなく会話がチグハグで、頭の中に「?」を浮かべながら話し続けた。“同じ言葉”を使っていたのに、ゴール(結果、到達点、完成形)が想定していたものと違った。そんな経験はありませんか?
それって、「“同じ言葉”だけど“同じ意味”ではなかった」というパターンが多かったのではないでしょうか。前の記事で「伝わらない原因」の一つは「前提が抜けている」と述べましたが、中でも誤差が生じやすいのは「言葉の定義が違う」から。言わば、自分だけの「ことば辞典」で勝手に解釈しているからなのです。特に、曖昧な表現やカタカナ英語は、誤解を招きやすいので要注意。
例えば、3部署で構成されたプロジェクトチームが、明後日15時からの社長プレゼンに向けて会議資料を準備していたとします。かなり大規模なコンペなので、自社の社長承認を経てクライアントにプレゼン予定。資料作成も大詰めです。担当者間のメールをのぞいてみましょう。
6/21 00:05 送信
A
明日9時に、会議室で最終チェックしましょう。Bさんは、資料を人数分お願いできますか? Cさんは、少し早めに入って一緒にセッティングしてください。念のため、それぞれ部長にもコンセンサスを取っておいた方が良いですね
この内容を確認しないまま各自の「ことば辞典」で解釈すると、
- プレゼン当日(22日)9時に会議室に行く
- メール上の3人分の資料を用意する
- 5分前に会議室に入る
などの行動をとるかもしれません。
しかし、BさんとCさんの心の声は……
『送信時間が0時回ってるけど、明日っていつ?』
『会議室ってどの会議室?』
『人数分って、何人?』
『お願いって、何をしたらいいの?』
『少し早めって、どのくらい?』
『セッティングって、何の?』
『コンセンサスって?』
これは極端な例ですが、Aさんの中では
明日=21日
会議室=D会議室
人数分=自分たちと一緒に担当している部下の分も含める
お願い=資料のプリント
少し早め=15分早め
セッティング=机やプロジェクター
コンセンサス=同意を得る
と解釈し「皆まで言わずとも分かるだろう」と考えていたなら、次のように改善できます。
6/21 00:05 送信
A
明日(21日)9時に、D会議室でプレゼン資料の最終チェックしましょう。 Bさんは、資料を6人分プリントしておいてもらえますか? Cさんは、15分早めに入って、私と一緒に机とプロジェクターのセッティングをお願いします。 念のため、それぞれ部長にも資料の承認をもらっておいた方が良いですね
ここで心掛けていただきたいのは、
- 「言葉の定義」を確認・共有する
- 具体的に書く
ということ。
お互いに異なった認識のままでそれぞれ仕事をすると、ズレが生じるのは当然。「いちいち聞くのもどうかな」「面倒な人って思われそう」万一そう思ったとしても、望まない結果になってから「そういう意味じゃなかったのに!」「そんな認識だったの?!」と言い合うよりは何十倍も良いですし、むしろ信頼を得られるはずです。
もし、これがお客様とのやりとりだとしたら?不信感を持たれたり、状況によっては損害賠償を命じられたりなど関係が悪化することも考えられますから、なおさら事前に「言葉の定義」を確認しあう必要性をお分かりいただけるでしょう。(そういえば社内報の編集者時代、お客様ごとに「用語辞典」を作成していました)
ただ、メールは双方向ですが、投稿や記事の場合は基本的に一方通行です。読み手の数だけ解釈は異なるので、できるだけ解釈の幅が広い言葉は使わないのがベター。その上で、どうしてもその言葉を使いたいときは
「今回の記事では、〇〇を〜〜〜〜という定義で使います」
「私は、〇〇を〜〜〜〜という意味で解釈しています」
「〇〇(〜〜〜〜)」
など、最初に宣言したり補足を入れたりすると、誤解や解釈のズレを防げます。
- 送信前に「誰が読んでも同じ解釈になるか?」という視点で読んでみる
- 第三者に読んでもらい同じ解釈になっているか確かめる
これらを試して、「伝えたいことが間違いなく伝わる文章」を届けてくださいね。
投稿者プロフィール
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“想い”を“言葉”に
その“言葉”が未来をつくる
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14年間の広告・編集業界を経て2018年にフリーに。
現役ライターとして活動中。
1,000人以上を取材してきた【取材力】で魅力を120%引き出し、ありありとイメージさせる【文章力】で心を揺さぶるのが得意。
10,000人以上の添削&修正してきた【ライティングスキル】を生かし、
個人起業家の《発信力アップ》をサポートするライティング講座を開講。
プライベートでは、元バックパッカーのマイペース夫とおじいちゃんのような5歳男児と悲喜こもごもを共にしている。
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