どちらがお得な生前贈与?暦年贈与と相続時精算課税

お金部門(相続)ライターの有賀郁子です。
相続のことでよく聞く言葉の一つに「生前贈与」があります。生前贈与とは読んで字のごとく、生きている間に財産をあげることです。

それを行うメリットは、

  1. 自分の意志で、あげたい人に確実にお金をあげることができ、そのお金の活かし方を見届けることができる
  2. 相続時に相続税を減らす効果が期待できる

相続は誰で起こりますが、相続税はある人とない人がいます。

非課税額の計算: 3,000万円 +(600万円×法定相続人の数)
例)夫婦とこども人の家庭で夫が亡くなったとき
3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円

この場合、夫名義の土地、現預金などを合わせた資産の総額が5,400万円以内でしたら非課税。5,400万円を超えた場合は、超えた額に対して税金が発生します。では、生前贈与として使われる代表的な暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを利用したらお得なのでしょうか?

ここでの注意点は、一度相続時精算課税制度を設定すると、その撤回もできませんし、暦年贈与との併用はできなくなります。シンプルにお答えすると、この例の場合、資産が5,400万円以上ある場合は暦年贈与がお勧めです。そして、資産が5,400万円以下でしたら相続時精算課税制度もいいと思いますし、暦年贈与もいいと思います。

理由は、相続時精算課税制度は、最高2,500 万円まで贈与税なしで子どもや孫に資金の提供の形で資産を渡し、活用してもらうことができます。しかし、あげた側が亡くなり相続が発生した時は、その金額も相続税の計算に入れられるのです。つまり、贈与時は非課税ですが、相続税の対象になります。ですから、相続税のかからない範囲の家庭でしたらいいのですが、相続税対象の家庭の場合は、節税にならないのです。

相続税のかかる資産をお持ちの場合は、毎年のひとり110万円の贈与税の非課税枠を使って何年にも渡り資産を移転させて、節税していくといいですね。

投稿者プロフィール

有賀郁子
有賀郁子合同会社インクリースオフィス代表者/ファイナンシャルプランナー&相続士
37歳の時、父の病をきっかけに、地元長野県に帰る。父の介護と他界、そこで遺されたお金を母の生活費のために運用しようとするが、リーマンショックもあり失敗。同時に失業で収入を失い、住宅ローンを抱えるという3重苦。
お金のことを知らなかった、だから失ってしまった。そして当時は誰にも聞けなかった経験から、私があの時会いたかったアドバイザーになることを決意し、9年目になります。
1967年4月生まれ。長野県諏訪市在住
セミナーやウェビナーを通して、今の時代の資産形成を「貯蓄セミナー」として伝え、資産を守り賢く引き継ぐために相続を円滑円満にするための相続セミナーも好評です。
パラレルキャリア専門エール通信

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