相続税を賢く準備

教養部門 お金(相続)ライターの有賀郁子です。
前回まで数回に渡って、国が用意している相続や贈与に関する制度や特例をご紹介してきました。

適用基準を満たし制度が使える人がいる一方、分かりにくい、規制が多くて使いにくい、ある制度を使ったがあまり節税にはならなかった、毎年の申告が大変だった、など、残念なことに不満のご意見を聞くことが多いです。
家族や家庭の事情は変わっていきますが、一度制度を適用されると途中でやめることができませんので、制度や特例の利用を検討されるときは、慎重にしてください。

相続に向けての準備を簡単にまとめますと、

  • 資産状況を把握しておくこと。
  • できれば財産目録を作っておくこと。
  • 生前贈与は3年以上続けないと、その3年分は相続資産として課税資産に繰り戻される。
  • 暦年贈与が連年贈与とみなされると、やはり課税資産に繰り戻されますのでご注意してください。

これらのことは、これからのコラムでも、時々繰り返していきますので、用語や準備についての考え方に少しずつ慣れていってくだされば結構です。つまり、今ここですべて理解して覚えようと頑張らなくても大丈夫です。前回までは、制度のことなどカタイ用語を使うことが多かったのですが、これからは、もっと身近なことをコラムらしくご紹介していきます。

今回は、銀行口座について。

ご自分名義の銀行口座をいくつお持ちでしょうか?

銀行だけでなく、信用金庫や郵貯などを含めると、70代から80代の方でも3つから5つ持っている方は多いです。相続を考える世代の方は、まず銀行口座を整理されることをお勧めします。整理とは、必要口座と使っていない口座を把握して、必要ない口座を解約することです。ずっと以前に作ったまま忘れている口座は意外と多いものです。

銀行の統合で近くの支店がなくなり、使わなくなった口座。個人事業を営む中で、相手先との関係で作った遠方の銀行口座など。解約は、名義人本人が窓口で解約することは簡単にできます。しかし体調不良により窓口まで行くことが困難になると対応が大変になりますし、亡くなった後は法定相続人全員の印鑑証明などが必要になるなど、金融機関により必要な証明が多少違うため更に遺族に手間暇をかけることになります。ぜひ元気なうちに整理しておいていただきたいと思います。

よく亡くなったら、即時に口座が使えなくなると聞きますが、実際はどうなのか?これは次回のコラムで書きたいと思います。

投稿者プロフィール

有賀郁子
有賀郁子合同会社インクリースオフィス代表者/ファイナンシャルプランナー&相続士
37歳の時、父の病をきっかけに、地元長野県に帰る。父の介護と他界、そこで遺されたお金を母の生活費のために運用しようとするが、リーマンショックもあり失敗。同時に失業で収入を失い、住宅ローンを抱えるという3重苦。
お金のことを知らなかった、だから失ってしまった。そして当時は誰にも聞けなかった経験から、私があの時会いたかったアドバイザーになることを決意し、9年目になります。
1967年4月生まれ。長野県諏訪市在住
セミナーやウェビナーを通して、今の時代の資産形成を「貯蓄セミナー」として伝え、資産を守り賢く引き継ぐために相続を円滑円満にするための相続セミナーも好評です。
パラレルキャリア専門エール通信

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