ローザ・パークス~公民権運動のきっかけをつくった勇気ある女性~

ビジネス部⾨ 歴史上の人物ライターの植竹希(うえたけのぞみ)です。今回のコラムで取り上げる人物はローザ・パークスです。

”I Have a Dream……” で始まる有名な演説を行った公民権運動の先駆的なリーダー、キング牧師。彼が本格的な活動をはじめるきっかけをつくった、勇気ある女性のエピソードをご紹介します。

「ローザ・パークス(ろーざ・ぱーくす)」(1913年-2005年)

ローザの生い立ち、当時のアメリカ南部

ローザはアラバマ州でアフリカ系アメリカ人である大工の父と、教師である母の間に生まれました。幼少期に両親は離婚。ローザは12歳で女子職業学校に入学し、16歳で縫製工場に就職します。19歳で理容師のレイモンド・パークス(1903年-1977年)と結婚。彼が全国有色人向上協会(NAACP)のメンバーだったこともあって、ローザもNAACPモンゴメリー支部の書記を務めるように。縫製の仕事とは兼業していました。当時、アラバマ州を含むアメリカ南部の州では「人種分離法」が施行され、公共交通機関を除く日常生活のあらゆるところで、黒人と白人は分けられていました。

ある日、ローザはバスの席を立たなかった

1955年12月1日、当時42歳だったローザは、縫製の仕事を終え市営バスに乗車しました。当時はバスも黒人白人の分断が例外なく行われていました。白人席と黒人席、そして白人がいない時のみ黒人も座って良い中間の席。黒人席が一杯だったのでローザは中間席に座りました。白人が続々と乗車してきたため、運転手は中間席に座っている黒人たちに立つよう命じます。座っていた黒人4名中3名は席を空けましたが、ローザは席を立ちません。そのため、運転手が彼女のところにやって来て席を譲るよう要求。けれどローザは「立つ必要を感じません」と答えて、拒否したのです。運転手に「警察を呼んで逮捕させるぞ」と言われても、「どうぞ、そうなさい」と毅然とした態度で答えました。運転手は警察に通報し、彼女は市条例違反で逮捕されました。

アメリカの黒人運動がはじまる

ローザ逮捕の知らせが近隣の黒人の間で伝わり、バプテスト教会の牧師に着任したばかりだった26歳のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)らが抗議運動に立ち上がりました。モンゴメリーのすべての黒人にバス・ボイコット運動を呼びかけます。貧しい黒人にとってバスは必要不可欠な交通機関。利用者の75%以上は黒人であり、彼らがバスをボイコットしたことで、バス路線を運営するモンゴメリー市は経済的に大きな打撃を被ります。ボイコット運動は381日間も継続され、最高裁が公共交通機関での人種差別を違憲と判決した翌日に収束しました。キング牧師はこの運動の勝利を契機として、全米各地で公民権運動を展開。アメリカの黒人運動は最高潮に達し、1964年の公民権法成立につながりました。

彼女の勇気ある行動がなければ、理不尽なルールが長く横行していた可能性があります。ローザは「逮捕」という不当な制裁を受けましたが、恐れずに行動したことで、人種差別に苦しむ多くの人々を救うきっかけをつくりました。社会に大きな変化をもたらした一歩は、一人の女性の勇気ある行動から生まれたのです。

そんなローザの名言は強さと温かさがあり、私たちに力を与えてくれるます。

私のことは、自由になりたいと願った人として覚えておいてほしいのです。…ほかの人たちも自由になれるように

投稿者プロフィール

植竹希
植竹希株式会社メディカルデザイン代表取締役/メディア戦略プランナー・ディレクター
メディア戦略プランナー。伝えたいことを伝えたい相手に届けるためのPR・プロモーションのプラン・ライティング
(https://design-m.jp/)
パラレルキャリア専門エール通信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です