第3回 美術館では何をどう見たら楽しめる?

マインド部門 アートと心 ライターのYoko Tsugeです。
美術館で楽しむには、作品がどこに飾ってあったのか?を想像して見てみることです。

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美術館に行き作品を見る。今では当たり前の鑑賞スタイルですが、世界初の美術館は1793年に開館したパリにあるルーヴル美術館です。その後ヨーロッパの他の国々にも美術館ブームがおきました。
(日本では1872年の湯島聖堂大成殿での最初の博覧会が、現在の東京国立博物館の起こりだそうです)

では、それまではどこで美術品を見ることができたのでしょうか?

それは教会、宮殿や貴族のお屋敷などでした。教会は宗教目的で訪れる場所。また宮殿などは公開していないので、一般人には美術鑑賞は無縁のものでした。美術館の登場により、それまで一部の限られた人のものが不特定多数の人に広がり、19世紀の中頃には芸術鑑賞が庶民の生活に入り込んでいきました。

20世紀になってからは、ホワイトキューブと言われる「白い天井・壁・床の立方体」の展示空間が登場します。日本では、ホワイトキューブの空間で、明るい照明のもと見ることが多いので、「作品がどこに飾ってあったのか?」「当時の人はどのように見ていたのかな?」と想像することを忘れてしまいます。

例えば宗教画のように、ゆれるろうそくの灯りの中で、祈りを捧げるときに見られた絵なら、鮮やかな色や、金色がそれはおごそかな雰囲気を作っていて、人々を驚かせただろうと想像できませんか?また肖像画だったら、先祖の名誉を代々伝えるために、お屋敷の壁にたくさん飾られていた1枚かも。ハリーポッターで出てくるの寮のように、夜は肖像画が自分を見ているようで怖かったかもしれません。

また、貧乏覚悟で描きたいものを描いていた画家の絵だったら、なかなか売れない自分の作品を手元に飾り見ている後ろ姿を想像してしまうかも。

このようにどんな場所に飾られてどのような人が見ていたのか? 違った視点から絵を見てみると、絵から受け取れるものも広がっていきます。前回と前々回とご紹介した、作品の”変化の過程”を楽しむ、”描き方を見る”と併せて注目していただくと、より楽しめるはず。ぜひ試してみてくださいね。

6ヶ月にわたりこちらでコラムを書かせていただき、今回のコラムが最後となりました。今まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

投稿者プロフィール

TsugeYoko
TsugeYokoアートエデュケーター / 会社員
思考中心の生活に、感じることを優先した時間を少し取り入れて、自分の好きや情熱はどこにあるのか意識してほしい。
日・英の大学で美術を専攻し視野をひろげ、ものごとのとらえ方を変えてきた経験を「こんな自分でありたい」個性を大切にする人のためのアート鑑賞時間を提供しています。

(https://cosinessandadventure.com)
パラレルキャリア専門エール通信

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