美術館では何をどう見たら楽しめる?2

マインド部門 アートと心 ライター アートエデュケーター ×会社員の Yoko です。
前回のコラムでは、美術館での楽しみ方として、作品の”変化の過程”を楽しもうということを書きました。

今回はその第2弾として、絵画の楽しみ方をご紹介したいと思います。

絵をみる時は、まず最初に何が描かれるのかな?と見る方は多いのではないでしょうか。ではその次は、どのように描かれてるのか?に注目してみましょう。

筆の跡が見えないような表面が滑らかでつるつるの絵もあります。近づいても写真のように見える高度な仕上がりをもたらす油絵の具の使い方。このように描くことが求められた時代もあったのです。また、離れたところだとリアルに描かれているように見えるのに、近づいてみると実はラフに筆を運んでいるのがわかる絵もあります。滑らかで磨き上げられたような仕上げだけがリアルに見えるわけではないと気づくことができます。

画家がどんな工夫をしているのか探ってみてください。そして、現代に近づくにつれて、筆跡の残し方がかなりはっきりとしてきます。絵の具をたっぷりつけた筆で、力強く何度も重ねたような絵もあります。点でひたすら描いていく点描画というものもでてきます。床にカンヴァスを置いて、絵の具缶から棒で滴らせて描くドリップペインティングと呼ばれる画法もあります。こういった描き方の違いは、描いているものをどのように見せているでしょうか? どんなことを感じますか? ”リアルな絵” からちょっと離れて、感情やエネルギーのようなものも伝わってくるかもしれません。

さてこちらの絵は、ヨハネス・フェルメールの「牛乳を注ぐ女」。この絵はどのように描いていると思いますか?

彼の絵は離れてみると表面がとてもなめらかに見えます。このような小さな画像では見えにくいとは思いますが、近づいて見てみると、筆の跡と絵の具の小さな塊が見えます。それは光の反射で弾ける光を、光の粒として点描で丁寧に描いているからです。

たとえば、パン、ブルーの水差し、女性の頭巾や額、壁のかごや金属容器、規則的に載せていけば不自然になってしまうところを、やわらかさも残し、質感の違いも表現しています。あるものをあるがままに描くのではなく、現実には目には見えない光の粒で ”リアル” に表現した。

美術館で絵を見るときは、描き方によってわたしたちがどのように見えるのか、近くに寄って見てみたり、後ろに下がって見たりしてみてください。きっと新たな発見があると思います。

投稿者プロフィール

TsugeYoko
TsugeYokoアートエデュケーター / 会社員
思考中心の生活に、感じることを優先した時間を少し取り入れて、自分の好きや情熱はどこにあるのか意識してほしい。
日・英の大学で美術を専攻し視野をひろげ、ものごとのとらえ方を変えてきた経験を「こんな自分でありたい」個性を大切にする人のためのアート鑑賞時間を提供しています。

(https://cosinessandadventure.com)
パラレルキャリア専門エール通信

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