こんにちは。ライフスタイル部門・香あそびを担当するKubota Hiroです。
「ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」
在原業平の有名な和歌ですね。某漫画でもおなじみ。。。
万葉集から新古今和歌集まで見ても、四季の歌の中で秋の歌が一番多く、
香りも秋が一番多く作られました。
平安時代から江戸時代にかけて趣味人はこぞって練香を作りました。
練香というのは、さまざまな香料(沈香木や丁子、白檀、安息香など)を混ぜて、
木の蜜や梅肉、炭で練り合わせて壺に詰めて熟成させたものです。
これを炭で温めた香炉やら火鉢なんかにちょっと置いて温めることで香りを広める、
という今でいうルームフレグランスのような感じで使われていました。
貴族たちは「我が家の(俺の)自慢のレシピ」を持っていて、
香りを競い合う場もありました。
その中で「六種の薫物」と言われる四季に合わせた香りがあります。
六種とは「梅花」「荷葉」「菊花」「落葉」「侍従」「黒方」と
名付けられた六種類の基本の香り。四季なのに六種?そうです。秋が三種あるんです。
秋の三種類の香りをご紹介します。
「落葉」は紅葉が散って、すすきが風にそよぐ様子をイメージした香りです。
「菊花」はそのまま、菊の花。昔は重陽(9月9日)には菊の花の露を集め、
菊の花を散らした酒を飲みました。長生久視(つまり長生き)の香りと言われています。
「侍従」は秋風が吹く夕べ、心が物寂しくなった時のもののあはれを表現していると言います。
この三種では侍従だけ少し名前と香りがイメージ合わない、という感じかもしれませんが、
侍従というのは帝の側仕えの役職名です。
かつては「侍従による秘方」(だから限られた人しか知らない)と言われていたとか。
歌でも香りでも秋は人の心を動かすものだったんですね。
今年はぜひ香りでも日本の秋を楽しんでみてくださいね。
今回の記事が、少しでも皆さんのお役に立てたなら幸いです。
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