香りあそび【新年の香り】

こんにちは。ライフスタイル部門・香あそびを担当するKubota Hiroです。
年始そうそういろんなことがあって、心がざわざわされている方や、
現在困難を抱えているかたも多いと思いますが、まずはご自身を守ってくださいね。



香りでリフレッシュやリラクゼーション効果をうたうものは多くありますね。
動物(人間を含む)の鼻の器官は脳よりも先にできたと言われておりまして、
そのためにほかの器官に邪魔をされず鼻から脳まで神経はまっすぐに通っています。
脳より先にできたということは、嗅覚がなければ生命維持の危険があった、ということでも
ありますね。文明が発達していくにつれ、嗅覚はそれほど重要ではなくなりました。


「香り」「匂い」というのは、大きく分けて人を高揚させるものと鎮静させるものに分かれます。
香木の香りはなかでも鎮静させる効果はが高い(弱い熱でゆっくり温めるからではないか)と
言われています。そんな感じで、脳の働きと嗅覚は密接に結びついていて、
特に感情の動きに連動することがわかっています。
たとえば、認知症の始まりに嗅覚低下があることや、うつ病でも嗅覚低下の報告があるそうです。
と、柄にもないことを書きましたが、報告はあるが、
その詳細については解明できていないことも多く、いまだ研究中です。


さて、そんな香りでストレスを軽減したいのは現在の私たちだけではなく、
かつての平安貴族たちだってそうでした。『枕草子』29段「こころときめきるもの」には
このように書いてあります。


こころときめきするもの 雀の子飼。ちごあそばする所のまへわたる。よきたき物たきてひとりふしたる。(中略)かしらあらひ化粧じて、かうばしうしみたるきぬなどきたる。ことに見る人なき所にても、心のうちはなほいとをかし。(後略)


胸がときめくこと。雀の雛を飼うこと。小さい子が遊んでいるところを通ること。
上等な練香をたいて一人横になる時。
(横になるってごろんとするという感じではないとは思いますが)
頭を洗ってお化粧をして、いい香りをたきしめた衣服を着る。
特別に見せる相手がいないときでも心の中はたいそうおくゆかしい。

と。自分のためにきれいにしていい香りに包まれて
ゆったりと過ごす贅沢な時間が幸せであると1000年前の清少納言が言っています。


2024年、既に体験済の方もそうでない方も、香りで豊かな時間を過ごしてみてくださいね!

投稿者プロフィール

KubotaHiro
KubotaHiro香人
香道を探求する香人。
小学生の時に読んだライトノベルの2ページで興味を持って無理やり入門。
香道ありきで大学に進学し、学芸員に。
香りと古典文学、アートを繋げる活動をしています。
パラレルキャリア専門エール通信

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