他人との競争を避けるための「孫子の兵法」

マインド部門  「中国史から学ぶ生き方」ライター能世雄妃です。
前回のコラムでは中国の古典『孫子』の中から「風林火山」を引用して徹底した観察眼の重要さを解説しました。

今回は「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」から、自分を大切にした先にある自立のあり方について解説していきます。

そもそも自分はどこの誰なのか

スマホでGoogleマップを開けば、すぐに目的地までの道筋を検索することができます。しかし日々あまりにも自然な流れで検索をしているため、「そもそもスタート地点が分からなければ経路を検索しようがない」という真理を忘れている人も多いのではないでしょうか。徹底した観察眼で周囲の状況を把握したところで、「今の自分がどこにいて、どのような状況なのか」つまり「自分がどういう人間なのか」が正確に分からなければ、目的地にたどり着くまでの道筋は描けません。

さらに自分自身が何者なのかを把握していなければ、敵はおろか、誰が自分の味方なのかすらも分からなくなり、「結局私は誰と何をしているんだろう」という状況に陥る恐れがあります。

「『自分らしく生きる』とか言ってるけど、ただの自己中じゃないか」
と言われてしまうのは、自分自身が分かっていないために誰と何をしているのかも分かっていないことが原因です。

逆に言えば自己犠牲に酔うことなく、自分を大切にし、自分を愛し、自分が誰なのかを把握した上で、相手が味方なのか敵なのかを判断できれば、「わがまま」と言われることなく自分に正直に生きることができます。そしてそうした自分の状態はまさに「自立した、自分らしく生きている魅力的な人」でしょう。

「究極の戦上手はそもそも戦をしない」

『孫子』はまずその立場に立った上でどのように他国との関係を築いていくかを説く本です。その中の

彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず

この言葉は、「敵国の軍事力、内政事情、国民の性質を知ると同時に、自国のそれらについても徹底的に把握していれば何度戦っても勝てる」という意味であると同時に、「敵国・自国について、徹底的に把握していればそもそも戦は始まらない」という意味でもあります。

これを現代の私たちに当てはめると、他者と争わない平和な生き方は自分を愛し、大切にした先にあるということになるでしょう。

投稿者プロフィール

能世雄妃
能世雄妃文章が書ける美女
作家・ライター・モデル。「有意義な暇つぶし」になるものを作っています。
(https://writing-beauty.com/)
パラレルキャリア専門エール通信

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