教養部門 読書ライターの西谷栄子です。
『子どもが持てなかったということは、子どもではないほかのものを育てなさいとの意味があるのか。子どもを育てるエネルギーと母性を誰かのために使いなさいということなのか』
この本は、子どもを持てなかった、そしてもたないと決めた女性のもつ悩みやそれをどう乗り越えて生きているのかについて書かれた本です。
私は、どうしても子どもが欲しいタイプではありませんでした。しかし最近、ご近所さんに赤ちゃんが出来たのを知ったのですが、そのときに私の心がザワザワとしたことに気づき、そんな自分に驚いたことがありました。
結婚して15年もたっているのに未だに子どもがいないことに対して、どこか負い目を感じていましたが、くどうみやこさんの「子どものいない女性の生き方」を読み進める度に、子どもを持てなかった人生には何か意味があると思えたのです。
もちろん、一人の人間を育て上げるということは大きな責任があるし、いろいろな困難があるのだと思います。だから素直に世の中のお父さんお母さんのことを尊敬しています。それが出来なかった私はやはり人間的に未熟なのだろうなと未だに思うこともありますが、私には私なりの使命があるのかもと・・・。
それから、この文章にも惹かれました。『ターニングポイントはよい出来事ばかりでなく、むしろ何か困難な出来事を経験した後に、それがきっかけとなり変わっていくことが多いです。失敗や挫折は人間に深みを持たせ、時間がたてばその経験が人生のエピソードになります』そう考えれば、人生起きたことはすべてムダではない! と思えるのではないでしょうか。
著者のくどうみやこさんは、子どもがいない女性を応援するプロジェクトとして、[マダネ プロジェクト]を立ち上げていて、そこには子どもを持たない女性たちが思いを言い合える場となっています。そのマダネプロジェクトの作った造語に「グランマダネ」という言葉があります。それは、“あんな年齢の重ねかたはいいな。子どもがいない人生も素敵だな” と思われるロールモデルのこと。
『自分は大器晩成型で、人生の後半戦にはよいことがたくさん起こるに違いないといつも自分に言い聞かせています。・・・ただぼんやりと過ごしているだけではよい出来事は起こりません。目標に向けて頑張る。努力を重ねる。人のために行動するといった小さな積み重ねや徳を積むことで、良い出来事が舞い込みます』こんな風に考え、私の得意なことで誰かの役に立てることはないだろうかと考えるきっかけをつくってくれた1冊となりました。
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