皆様、こんばんは。読書ブログを担当します西谷栄子、8回目の投稿となります。
今回は、これまでとはジャンルを変え小説のご紹介となります。
歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』です。
まずは、簡単なあらすじのご紹介から。
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とある資産家の老人が亡くなった。
ひき逃げだったようだが、その老人の孫娘は、その事故はただの事故ではなく仕組まれたものではないかと疑っていた。
その調査を依頼されたのが、この小説の主人公であり、元私立探偵の成瀬将虎。女性にだらしなく毎日ダラダラと過ごしているようだがそれは仮の姿のごとく頭は切れ、やくざの親分にも一目追われるような賢さを備えており、それでいて実は優しい。
そんな成瀬が調査を進めるうちに、どうやら老人は孫娘の推測通り事故などではなく、とある宗教団体の悪質な商法に引っ掛かりあげく殺されてしまったことが分かる。
しかしわかったのはそれだけではなく、調査を進めるうちにとある女性との運命的な出会いがあったりするのだが・・・。
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この本の紹介文に“2度3度と読みたくなる究極の徹夜本です”と書かれているのですが、まさしく一気読みの面白さでした!
主人公成瀬のキャラクターも引き込まれる要因だし、ほかの登場人物たちも人間的に深みのある設定になっていて、物語の場面の時間軸が前後していて戸惑うことはありますが、気にならないくらい話に引き込まれていくのです。
そして、最後のほうでその時間軸が前後していてモヤモヤしていたことも「そうだったのか!」と分かってとてもスッキリとしました。
スッキリとしたところで、あの感じていてたモヤモヤを解消したいと、もう一度読みたくなる。だから、2度3度と読みたくなるんだと納得するのです。
それから物語を読み終え、題名となっている「葉桜」という言葉について考えてみたりもしました。
桜は先に花が咲き、そのあとで新緑のような緑の葉が出てきますよね。これを人にたとえてみると、若いうちは皆からチヤホヤされることもあり(これを桜でいうとお花見のころ)、綺麗で輝いている時期です。あとは年齢を重ねていくのみ。それを桜で考えると、綺麗な桜の花が終わると次に来るのが青々とした新緑の葉。だから花がおわってもこれからなんだと、そういう風に人生も考えることができるのでは?なんて、考えることができました。
この小説はただの推理小説にとどまらず、主人公成瀬の話す言葉の数々が深くて、心に刺さるのです。
成瀬が出会った運命の女性が自分が年老いたことを悲観してもう人生やり直せないと嘆く場面で、成瀬が彼女に言った一言。
『つまり何が言いたいのかというと、気持ちひとつなんだよ。やる気があれば年齢なんて関係ない。君はもともとバイタリティーのある人間なわけだし、その気持ちを失わなければ、この先どういう境遇に置かれようと、悲観することはないんじゃないか。』
”気持ちひとつ”
いくつになっても好奇心を忘れることなく、いつも何かにチャレンジしている人でありたいと思いました。
それから、傲慢になることなく謙虚な心を忘れずに。
自己啓発本もとても学びになりますが、小説からも学ぶことは多いです。そんな1冊に皆さんも出会えますように。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が皆さんのお役に立てればとても嬉しいです。
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