ヘルスケア部門「介護」担当ライターの荻野真由美です。
さて、今季の介護コラム、テーマは「介護✖️ビジネス」。
介護業界がビジネスとして成長してきた背景や可能性について掘り下げていきたいと思います。
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介護ビジネスの発展がもたらした生活の変化
2000年の介護保険開始から25年。介護ビジネスが大きく発展したことで、
私たちの生活は、たくさんの変化が生まれたと思います。
それまでは、「介護=嫁の仕事・家庭内の負担」や「老人ホームや老人病院への入居」と
いった選択肢しかなかった時代から、今では多様な介護サービスが社会に浸透し、
より個人の生活に合わせて介護スタイル選ぶことが可能になっています。
- 介護が「特別なこと」ではなくなった
以前は、家族の誰かが介護を担うことが一般的で、
特に女性がその役割を担うことが多い時代が長く続きました。
私も子供の頃、祖母から、曽祖父母の在宅介護の話を聞かされて、
とても大変だなあと思ったことを記憶しています。
特に印象に残っているのは、認知症を患った曽祖父が夕方になると徘徊を始め、
家族総出で布団でぐるぐる巻きにして止めたという話です。
今では考えられないような方法ですが、当時は在宅介護の支援も限られており、
家族が必死に対応するしかなかったのでしょう。
しかし、介護ビジネスの発展により、
「介護は家族がすべて抱えるものではない」という考え方が広まり、
社会全体で支える仕組みが整ってきました。
また、高齢者が自宅や地域で安心して生活できる環境が整っています。
これにより、「介護=女性の仕事・家族の負担」といったケースは
少しずつ減少したように思います。 - 「施設入居=悪いこと・罪悪感」が少なくなった
かつて介護施設への入居は、「家族が面倒を見ない=親不孝」「嫁が責任を放棄した」と
いった批判の対象になることが少なくありませんでした。
施設入居=「老後の終の住処」と考えられ、「できる限り家で看取るべき」との
考えが根強かったのです。
しかし、現在では施設に入ることへの抵抗感は大きく減少し、
本人が望んで入所するケースも増えてきました。
またかつては、街のはずれや山奥にあった介護施設が、
街の中に建てられ、地域に開かれた場所であったり、
地域交流の拠点の役割を担う場所もあります。
このように、施設入所が、老後を過ごす前向きな一つの選択肢になったことは、
家族にとっても本人にとっても良いことではないでしょうか?
3、介護が身近になってきた
近年、介護を題材にした映画や漫画、芸人のネタなど、
エンタメの世界でも介護が扱われることが増えてきました。
これらの作品を通じて、介護の現実を知るだけでなく、
「介護にも笑いや感動がある」「介護は決してネガティブなものではない」という
新しい視点が広がっています。
これらの映画や漫画を通じて、「介護の現実」を知る機会が増え、
これまで介護に縁がなかった人でも、「こんな問題があるんだ」「介護の仕事ってすごいな」と
興味を持つきっかけになりました。
また、介護の大変さだけでなく、「笑いや感動」を含んだ作品から、
「介護=つらい」という固定観念が変わり、
「介護にも喜びがある」「家族との大切な時間だ」といった新しい価値観が生まれています。
さらに、介護職のやりがいや、人と人とのつながりの大切さが描かれています。
これにより、「介護の仕事もいいな」と思う若者が増え、
人材不足の解消にもつながる可能性があります。

介護ビジネスがもたらした未来
介護ビジネスの発展により、私たちの生活は大きく変わりました。
かつては「介護が必要になる=大変な生活が待っている」という
ネガティブなイメージが強かったですが、
今では「介護が必要になっても、自分らしく生きられる社会」が実現しつつあります。
これからの介護ビジネスは、
さらに「個人の尊厳」や「選択の自由」を尊重する方向へ進化していくでしょう。
私たちが介護とどう向き合い、どのような未来を築いていくのか——この変化を
引き続き見守りながら、新たな可能性を探っていきたいと思います。
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