介護×ビジネス

ヘルスケア部門「介護」担当ライターの荻野真由美です。
あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今季の介護コラム、テーマは「介護✖️ビジネス」。
介護業界がビジネスとして成長してきた背景や可能性について掘り下げていきたいと思います。


■2025年、介護ビジネスの四半世紀
2025年は、介護が「ビジネス」として成立してから25周年という節目の年です。
この四半世紀の間に、介護は大きな市場を形成し、多くの企業が参入してきました。
現在では、介護サービスを提供する事業者だけでなく、
関連する周辺産業(IT、建築、不動産、食品、物流など)も拡大し、
全体の市場規模はさらに拡大を続けています。

この成長の起点となったのが、2000年4月1日に施行された公的介護保険制度です。
この制度は、家族だけに頼らず、社会全体で高齢者を支える仕組みを作ることを目的に
導入されました。
それは同時に、介護を「公的サービスから市場主導型のビジネス」へと
転換させるきっかけとなったのです。


■ビジネスの視点で見る介護保険制度
介護保険制度導入以前の課題
導入以前は、地方自治体が高齢者福祉サービスを提供する「措置制度」が採用されていました。
しかし、利用者にはサービスを選ぶ自由がなく、必要なケアが十分に行き届かないケースも
多かったのです。
また、高齢化による家族の負担増も深刻な問題となっていました。

介護保険制度の特徴
介護保険制度の主な特徴としては以下の3点が挙げられます:
公的保険制度として40歳以上の国民が保険料を負担する。
要介護認定を受けた人が必要な介護サービスを利用できる。
利用者にサービスの選択権を与え、複数の事業者がサービスを提供する「市場原理」に
基づいた仕組みを採用している。

特に3番目の「市場原理」の採用は、従来の措置制度とは一線を画す画期的な点です。
それまでは、どのサービスを受けるか、どの施設に入るかを行政が決定していましたが、
現在では利用者自身が自由に選択できるようになりました。


■介護市場におけるビジネスチャンス
介護保険制度がもたらした市場の自由化は、多くの新規参入を促しました。
それまで介護とは無縁だった異業種企業も、この市場に積極的に参入しています。
例えば:
IT業界:AIを活用した見守りシステムや介護ロボットの開発。
建築・不動産:高齢者向け住宅や有料老人ホームの建設・運営。
食品業界:介護食や健康食品の提供。
物流業界:訪問介護における物品供給や高齢者向け配送サービス。


さらに、競争による淘汰が進んだ結果、質の低いサービスや劣悪な施設は淘汰され、
質の高いサービスが選ばれるようになりました。
このように、市場原理が働くことで、利用者にとっても事業者にとっても
メリットが生まれています。


■グローバル視点での介護ビジネス
介護市場の成長は国内にとどまりません。
現在、日本の介護ノウハウを海外に輸出する動きが本格化しています。
特にアジアを中心とした高齢化が進む国々において、
日本の介護モデルは大きな注目を集めています。
例えば、老人ホームの運営や介護人材育成のプログラムなど、
日本独自の介護のノウハウやその技術が新しい収益源となる可能性を秘めています。


■介護ビジネスの未来に向けて
介護保険制度は、社会的課題を解決する一方で、新しいビジネスの可能性を広げました。
高齢化が進む中、この分野でのイノベーションや事業モデルの開発は、
今後さらに重要な役割を果たすでしょう。


私自身、これまでのキャリアを通じて介護ビジネスの進化を目の当たりにしてきました。
2025年という節目の年に、介護とビジネスがどのように交差し、
新たな価値を生み出していくのかを引き続き注視していきたいと思います。

今季もぜひお付き合いください。



投稿者プロフィール

荻野真由美
荻野真由美介護の日本語教師・介護人材(インバウンド)アドバイザー
介護福祉士✖️日本語教師✖️インドネシア在住10年 
現在、海外に住む日本人に向けた介護コラムを執筆中。
「情報を制するものは介護を制する!」
遠い将来のことのように感じる「介護」
でも、いつかは直面する「介護」
だけど、なんだかわかんない「介護」
そんなKaigo を、みなさんにわかりやすくお伝えいきます。
パラレルキャリア専門エール通信

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