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─ November 2020

パラキャリウーマンの宮川美穂さんが在籍する株式会社Caster 人事/PR 執行役員の 勝見 彩乃 さんに、社内のパラレルキャリアや各種制度について詳しくお話を伺いました。

複業は創業時からの自然な取り組み

株式会社キャスターは、2014年9月の創業時から、複業については制限することなく取り組んでいます。当時から他に本業を持っているスタッフが多かったので、当社を本業としている社員についても、特に制限を設けることはなかった、といういきさつがあります。

当社の現COO(最高執行責任者)も、はじめは他に自分の会社を経営しながら、業務委託としてキャスターに携わりました。その後、当社の取締役に就任したという経緯があります。そういったメリットも感じているので、これまでに複業を禁止するという話が議題にあがったことはありません。また、女性社員が多いことも当社の特徴の一つですが、複業をしている割合は圧倒的に女性の方が多いです。

リモートワークが当たり前の社会作り

「リモートワークを当たり前にする」が当社のミッションです。創業した2014年当時は、リモートワークを導入している企業がほとんどなかったので、誰もが当たり前に選択できる世の中にする為に設立されました。宮崎県西都市に本社があります。そこでは郵送物の受取りや、発送等を担当する社員のみ出社しています。他の社員はすべてリモートワークです。勤務地も指定していませんので、海外で仕事をしているメンバーもいます。

一般的な企業と比べても、当社の社員には「通勤時間」という概念がないので、通勤までの準備時間や電車移動時間を複業に当てる方が多いです。時間管理は社員の自己判断に任せていますが、時間を効率的に使えるので、オーバーワークの心配は少ないです。

社員を守る複業ルール

創業当初と今現在では、複業に関するルールの運用方法が少し変わってきました。はじめは会社への報告義務もなく、社員の自主判断に任せていたので、複業制度も名言していませんでしたし、特にルールというものはなかったです。ただし、社内規定として、「競合先で仕事をする場合には、経営陣に許可を取る」「反社会勢力とは取引をしない」という規定だけ設けていました。

現在もその取り決めに準じつつ、自由であることに変わりはありません。しかし、事後的に、複業を始める際には、「会社や取引先の情報を人事総務に報告する」というフローを取り入れました。原則的な考え方は変わらないのですが、会社も大きくなってきたので、ルールが守られているか厳密に確認していく必要が出てきました。また、何か問題が起きた場合に大切な社員を守るためにも、そういった複業ルールの導入を始めています。

個人の働き方や生き方を応援する企業

複業を解禁していることで、デメリットはまったくありませんし、今までに大きな問題やリスクも起きていません。雑談程度に複業先の業務の相談を受けることもあります。すごく風通しのいい会社だと思います(笑)。他の会社からすると、ビジネスの機会損失になるのでは?と思われるかもしれませんが、当社としては、特に困るほどのことではありません(笑)。会社が複業を制限しないことによって、従業員自身が、「より豊かで充実した生活をおくる」という成果を上げて欲しいです。満足度の向上は、働く社員本人にとっても、会社にとっても大きなメリットになると考えています。

複業の制限を設けないことで社員が複業先に流れる可能性はあります。本業と複業を比較した時に、複業先の仕事が面白かったら、そちらにいきたくなりますよね。そこに関しては、当社の仕事の方が面白い、と思ってもらえるように会社としてマネジメント努力が必要な部分だと捉えています。従業員の自由や成長を阻害することなく、仕事のスキルや経験を活かす場を増やし、従業員の働き方や生き方を応援する企業でありたいです。

様々な業種の複業

社員がしている複業の業種は把握していますが、本当にいろいろですね。事務的なものや、ライティング、システム開発、ベビーシッターのようなお仕事をしている方もいらっしゃいます。やはり本業の得意分野を活かした複業を行っている方が多いです。違う分野に進むより、取り組みやすいですよね。

例えば、マーケティングを行っているスタッフは、その経験を活かして他社のマーケティングを行って複業に繋げています。社員だけじゃなく、経営陣も積極的で、トレイルランニング好きが高じて、大会で優勝するまでになり、その優勝経験を活かしてコーチになった方もいます。趣味からキャリアに繋げる社員も多いです。私自身も複業として、他の企業で人事部のサポートをしています。前職までは採用に関する仕事が多かったので、その経験を活かして、特にスタートアップ企業の採用支援をしています。

リモートワークで時間を効率的、かつ有効に使えることが、複業との両立を可能にしています。

適切な目標と成果の管理

業務効率が下がるのは、複業が原因ではなく目標管理の問題になります。締結した雇用契約の契約時間内で適切な目標を設定し、達成したら評価をし、そうじゃないなら査定を下げます。複業の有無ではなく、仕事の成果を管理できれば、問題ありません。

複業解禁で広がる採用

複業解禁のメリットは非常に大きいと考えています。特に、採用面では効果を発揮しています。複業が認められているからこそ、当社に入社を希望した、参画できたメンバーはかなり多いです。

現在、約700名のメンバーのうち、業務委託で関わるメンバーが約400名。その中には、個人事業主や他の仕事をするメンバーもいます。様々な人材に出会って雇うことができるのも複業を認めているからで、採用には効果的ですね。また、複業したい方を受け入れるのですから、自社を本業としている社員にも複業を認めることは当たり前です。そういった部分も整えることで、複業を推進していくことができます。

今後、日本の労働人口は確実に減り、人材の確保が困難になっていくのは、誰の目にも明らかです。新しい優秀な人材を採用するための選択肢としても、「複業を解禁する」ということは重要になると予測しています。

勝見 彩乃(かつみ あやの)
株式会社Caster 人事/PR 執行役員

パラレルキャリア専門エール通信