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  2. テレワークとパラレルキャリアの可能性-総務省[FILE04]
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─ January 2020

霞ケ関でオフィス改革、働き方改革、人材育成を進めるテレワークの第一人者で、現総務省行政評価局総務課長(局総括課長)の箕浦さんに、日本の働き方を変えるテレワークについてお話を伺ってきました。今回は、テレワーク導入事例と企業が抱える不安についてお伝えします。

テレワーク導入のメリット

テレワーク導入の事例として総務省の私達自身が実践してみて圧倒的に軽くなったのは、やはり通勤です。僕も毎朝、乗車率200%というとてつもない状態で、1時間くらいかけてここまで来るので、着いた時には、もう、相当体力疲弊しているわけです。ゲームに例えるなら3つあるライフのうち1つを失っているような(笑)。もし電車で、ちょっとしたトラブルがあったりすると、さらにマイナス1で、ライフ1つで午前中乗り切らなければいけなくて、そこで息絶えている、という(笑)。テレワークなら、体力も温存できて、かつ、通勤時間も節約できるわけですよね。

朝はゆっくり家族とご飯を食べて、朝ドラでも見ながらコーヒー入れて、見終わった頃に「さぁ仕事するか」とそこから仕事モードに切り替え。お昼も奥さんと一緒に食べて、午後からも同じように仕事して、5時になったら、「今日も仕事終わろう」と切り替えて、奥さんと手を繋いで買い物にも行けます。そういう感じ、楽しいじゃないですか(笑)。

パラレルキャリアを前提としたテレワークの場合だと、例えば、今日はいろいろ人と会う約束があるので、会社ではなく赤坂のシェアオフィスに行って、午前中はそこで会社の仕事をします。お昼は、誰かとランチミーティングをして、午後からは休暇を取って、もう一つのキャリアに関わる仕事を、同じ赤坂のシェアオフィスでやって、終わったら夜はそのまま赤坂で、異業種交流会で知り合った仲間たちと飲みながら、いろんなコミュニティの話をします。こういう仕事スタイルが、恐らく普通になっていきます。すでにそれが当たり前の人もいます。

しかし、テレワークを実践しているのはごく一部で、ベンチャーやスタートアップ、あるいは、フリーランスで、いくつかの企業と契約しながら働いているような、かなり意欲のある社員に限定されます。そのような人達は、テレワークとか言わなくても、普通にそういう感じで仕事をしていると思います。伝統的な役所や大企業では実現できていない、というのが、残念ながら今の日本の現状です。

これからの管理方法

テレワークで社員がちゃんと真面目に仕事をするか、心配されている企業さんはいます。役所ではLAN環境の中で、PCの稼働状況が、それぞれのネットワークに色で表示されています。PCをアクティブにを使っていれば、緑。離席中などは黄。しばらく使ってない、または、シャットダウンしていると、グレーになります。PCの稼働率も見えるようになっています。それに加えて総務省の場合は、すべての端末からスカイプを使ってWEB会議ができるので、例えば、上司がテレワーク中の部下をみて、PCが動いていないと、呼び出して確認することができます。

今、申し上げたような状況は、従来の職場で管理している状況と、ほぼ変わらないと思いませんか?上司と部下が顔を合わせて同じ場所にいても、上司が四六時中、部下の横顔を見ながら監視する、そんな職場はありません。同じ場所にいるから、なんとなく皆んなサボらず仕事している、という安心感のもとで管理しているわけです。それは、緑、黄、赤、で管理できて、さらに怪しい時は、個別で呼び出して確認、という方法とほぼ変わりません。

実は、対面じゃないと部下の管理ができない、ということはありません。そこで管理できないと考えてしまう上司は、恐らく目の前に部下がいても十分とは言えないと思います。自宅にいるとサボるかも?と心配されるような部下は、自宅じゃなく職場にいてもサボります。というところに立脚すれば、目に見える、見えない問題は、問題ではありません。

テレワーク導入をかなり真面目に悩んで、考えて、ためらっている企業さんが、一番問題にしているのは、セキュリティと、目の前にいないと逆に仕事をしすぎてしまうのではないか?ということです。ITソリューション自体は、PCを持って帰れば24時間仕事できてしまいます。そうなると、サボる心配より、働き過ぎ問題の方が、むしろ心配です。欧米の企業では、繋がらない権利、を問題にしています。四六時中、電話で呼び出しされてしまうと、バカンスの時も出なくてはいけない、というところです。

今後の日本の働き方改革も、そういうことを考えていかなければいけないかもしれません。決して遠くない未来、恐らく8時間続けて出社して勤務する、という形態は変わっていき、現在の「勤務時間」の概念が大きく変わるのではと考えています。

(次回につづく)

パラレルキャリア専門エール通信