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  2. テレワークとパラレルキャリアの可能性-総務省[FILE01]
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─ July 2019

霞ケ関でオフィス改革、働き方改革、人材育成を進めるテレワークの第一人者で、現総務省行政評価局総務課長(局総括課長)の箕浦さんに、日本の働き方を変えるテレワークについて、詳しくお話を伺ってきました。

テレワークの話をする前に、少し現状の話をすると、女性とか男性とか関係なく、女性が働きにくい職場は、絶対男性も働きにくいんです。女性の管理職が育たない、という悩みを抱えている企業がありますが、そういう企業は、女性だけじゃなく男性の管理職も育っていません。ちゃんと組織のマネジメントや人材育成、キャリアアップのための人事制度を用意できていないがゆえに、女性も定着しなかったり、昇進しなかったりということです。

また、女性管理者が少ないと言われていますが、見方を変えると、女性の方が、賢明な選択をしている、とも言えます。男性は、給料が上がったり、ポジションがステップアップすることに対して、まだ何らかの幻想を抱いているわけです。それに伴う職責とか、それに伴う無用な拘束とか、様々なしがらみがつきまとうことが多いんですが、それらに見合ったものがポジションだと思っているだけで、「それって見合わないでしょ?」ということがわかっているのが、意外と女性だと思います。自分の貴重な時間や家族との時間など、いろいろなことを天秤にかけた時に、もっと自分自身の価値をわかっている人たちは、今や、そっちを選ばないんじゃないかな(笑)。

僕は、今、霞ヶ関で局の総括課長をしていますが、仮に昇進すると審議官ということになるんです。これまでの霞ヶ関で、一つの成功パターンというのは、局長になって、次官になって、という感じですが、ここで、はたと考えるわけです(笑)。僕は、プロフィールにも書いているように、いろんな活動をしています。もちろん、仕事との関係で支障のない範囲になりますが、好きなように時間を使っています。

午前中で仕事を切り上げて、午後は年休を取って、どこかのイベントやセミナーに行って喋ったり、人脈広げたり、とかいうことが、今はできています。例えば、昇進して審議官や局長になると国会対応があるわけですね。国会の委員会の質疑に呼ばれたら、その日は委員会に出席することになります。
あらかじめ予定が決まっていればいいんですが、来週のこの日、委員会があるかどうかわからない。下手すると、明日、国会、委員会が、あるかどうかわからない。まだ決まってはいないけど、ひょっとしたら呼ばれるかもね、とか言っていると、先々の予定が一切立てられないことになっちゃう。貴重な人との出会いや得るべきビジネスチャンス、成長の機会を失いかねない。

もちろんお給料は、上るかもしれないけど、でも、僕にとっては、良いことなのかな、って(笑)。冷静に考えた時にちょっと思うわけです。やっぱり、そういうことなんかは、同じく民間企業でも起きていて、もちろん女性で課長にもなれるよ、そういうチャンスもあるんだよ、じゃあ課長になりますか、といった時に、あえて、そこを選ばない女性達って、もっと賢明な選択をしているんじゃないのかなって。というところを、何となく最近直感的に、そうじゃないかなぁと思っています。実証はしていないので、実際にそういう人たちの話を聞いてみたいという気もするんです。

パラレルキャリアは、僕は、すごく大事だと思っていて、昭和スタイルのサラリーマン、例えば、ある大企業に就職しました、というと、そこで与えられるものが自分の仕事であり、自分の役割だと思いがちじゃないですか。でも、僕たち人間だから、やっぱり自分の理想とか、やりたいことって、もっと根っこに持っているはずなんです。それを実現するために、会社に所属するわけですよね。だから本当は、自分ができることとか、やりたいことって、会社の枠にとらわれて考えてはいけないのに、会社の枠で考えちゃっているのが、今のおおかたの日本人ですね。だから昭和のスタイルにまだ属されてるというか、そこから、あまり発想が抜け出せていないような気がするんです。

自分がやりたいことを軸に考えた時には、もっともっと、自分の組織にとらわれずできることっていっぱいあるような気がします。僕の知人で、僕と言い方は違うけど、同じようなことを言っている方がいて、彼女が言っているのは、仕事って「仕える」「事」って書くでしょ。それが昭和型の仕事のスタイルで、彼女が目指そうとしているのは、「志」の「事」と書く「志事(しごと)」。自分が目指すものを実現するのが、志事(仕事)にできていくと、もっと幸せになるよね、ということを言っているんです。

(次回につづく)

パラレルキャリア専門エール通信