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輝く女性 PICK UP! 私の働き方改革
パラレルキャリアで寄付文化を醸成していきたい

─ August 2020

株式会社CAMPFIREで働きながらパラレルキャリアを実践している高橋あゆみさんに、パラレルキャリアを始めたことや将来についてお話を伺いました。

想いのこもったお金で応援することを体験

株式会社CAMPFIREでクラウドファンディングのキュレーターをしています。資金集めに挑戦したい方のプロジェクト作成や運営のサポートをする業務です。前職は公務員でした。

公務員からキャリアチェンジしたのは、仕事と気持ちにギャップが生じたからです。学生の頃から世の中の「お金の存在」に興味があったので、NPOで寄付を募り想いのこもったお金で人を応援することに携わっていました。公務員になると、扱うのが税金で想いの入ったお金ではないので、応援の想いがこもったお金を扱うクラウドファンディングに関心がわきました。

公務員を辞めてチャレンジすることに最初は迷いもありましたが、「これは本当にやりたいこと?」と自分に問い直し、ちょっと違うと思う瞬間が出てきました。給与の安定面で、周りから意見もありましたが、自分の心が喜べないのが一番辛いと思ったので、思い切ることができました。

最初は驚いたがそれが当たり前の会社

パラレルキャリアでは、東南アジアの児童養護施設の子ども達を支援するNPOに、2018年からプロボノで参加しています。パラレルキャリアを考え始めたのは、NPOに携わる4ヶ月前に転職したキャンプファイヤーの環境でした。キャンプファイヤーでは、「資金集めの民主化」をミッションに掲げていることもあり、一つの組織での収入に依存せず、活躍の場を広げていく人を応援する風土があります。実際に、そういう社員を何人も目の当たりにし、一つの組織に依存して生きていくスタイルのみでは、キャンプファイヤーの描く世界が達成できないと思いました。

どちらに対しても心苦しさを抱えていた

苦労したのは、精神的な面です。会社の業務が延びれば、NPOのミーティングをスキップすることもあり、また、NPOに参加する時は、まだ残業中の人を横目に先に帰ることもあったので、会社とNPOの両方に対して申し訳なさを感じていました。

それを乗り越えさせてくれたのは、自分の思いや状況を人に話す、ということです。一番大きかったのは、直属の上司からの応援です。職場のために部下をどう活かすか、というより、今後の私の成長のために何が必要か、と考えて「やりたいことがあるならやりな」と言ってもらえたことで心理的負担がなくなりました。

体験がシナジーを生んだ

本業では、資金調達に取り組む方々をサポートする側ですが、逆にNPOでは、資金集めをする主体側を経験しているので、キャンプファイヤーというシステムを客観的にユーザー視点で見ることができます。

クラウドファンディングをサポートしていると、目標金額の達成がゴールになってしまいがちですが、資金を集めている本人にとって、クラウドファンディングはあくまでも通過点で、そこからが始まりです。ユーザーの想いや葛藤を、自分の体験と照らし合わせながら接することができるので、相乗的な効果につながっていると思います。

パラレルキャリアで工夫していること

自分の中に複数の人間がいる感覚にマインドセットすることで自分自身をある意味客観的に捉えています。パラレルキャリアをしたからこそ自分の多面性や重層性に気が付きますし、冷静に受け入れられることが多いです。
場に合わせて複数の自分を作り分けるよう気をつけています。メンバーや環境によって、リーダーを担う時もあれば、後ろからついていく時、ムードメーカーに徹する時もあります。

時間管理についても、自分の中の複数の人間で冷静に話し合ってもらう、という感じですね(笑)。TODOを書き出し、カレンダー上で本業以外の時間を90分ずつ区切ったものに当てはめて、スケジュールを立てています。

純粋に面白い!複業は心の健康

一つの組織にどっぷり浸かっていると、無意識にその組織に管理されているように感じてしまいがちですが、パラレルキャリアでは、自分で自分を管理して使っていくところに、面白さとメリットを感じています。
組織のために、ということを考えすぎてしまうと、特に前職で私はそうでしたが、自分は組織のために働けているのかな?組織のお客様のために、ちゃんと貢献できているのかな?という視点のみで悩み、沈んでいくこともありました。

そこに「自分」という視点を一つ加えることで、自分の思い描く未来に、どうつながっているのか、自分の中で整理しながら仕事ができるので、心の健康というか、精神衛生上とても楽しいし健全だな思います。

デメリットの考え方

税金などのお金の面で面倒さはあると思いますが、それを除くと、無いような気がしています。周りへの配慮、申し訳なさ、情報や時間の管理など、不安な面も出てくると思いますが、それは、副業・複業(パラレルキャリア)・兼業だから、というデメリットではないと思います。会社内でも兼務している人はたくさんいるし、職場で人間関係をどう構築するか、申し訳なさをどう乗り越えるか、情報管理はどうするか、など、元々あった課題だと思うので、逆に副業やパラレルキャリアをすることによって、それらをどう乗り越えるのかと改めて課題を見直す良い機会になると考えています。

日々の業務と活動を夢の実現に役立てたい

寄付文化が日本に醸成することが私の大きな夢です。クラウドファンディングやNPOの資金調達に関わることで、自分の思い描く寄付文化に向かって行けたらいいなと考えています。特にコロナ禍で、寄付の動向が変わり、注目も集まっていると思うので、いろんな人と話をして学び、動きを逃さないようにしようと考えています。

パラレルキャリアを検討している人へエール

パラレルキャリアが必ずしも正義ではないと思います。一つの組織に尽力するのも、とても素敵だし、以前の私は、そうありたいと思っていました。パラレルキャリアという働き方の選択肢があると知っていることが重要だと思います。なんとなく新しいことをしたい、このままじゃいけない、という気持ちになった時、誰かに話してみるとか、自分が無理なく行動できる環境をもっておくことで何かにつながっていくと思います。まずは、行動してみることです。

高橋 あゆみ(たかはし あゆみ)
株式会社CAMPFIRE マーケティング本部 カスタマーサクセス責任者/キュレーター/プランナー

パラレルキャリア専門エール通信