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─ September 2021

パラキャリウーマンの海保和美さんが在籍するパーソルグループの人事企画部 部長 山崎 涼子 さんに、社内のパラレルキャリアについて詳しくお話を伺いました。

社員の自己成長を応援

パーソルグループは、人と組織にかかわる多様な事業を展開する総合人材サービスグループです。2019年4月に、国内グループ29社2万5000人に対して、複業制度を導入しました。これは弊社のダイバーシティー推進方針 Diversity, Inclusion & Equality の一環になります。

弊社のグループビジョンに「はたらいて、笑おう。」を掲げており、それを実感できる未来をつくっていくことが、私たちの使命です。複業はグループで得た経験とスキルを社会貢献に生かし、複業で得たものをグループの成長に繋げてもらえるように「社員の自己成長を応援しよう!」とスタートしました。

グループ内での議論

政府が方針を出した副業解禁元年は2018年。その年の5月に、グループ内で話し合いが始まりました。2カ月後の7月には、ガイドラインの議論に入っています。制度導入への反対意見はなく、どのような形にすれば「はたらいて、笑おう。」に繋がるか、ということに重きをおいて、議論を進めました。関係者との合意後、具体的な運用ルールの制定や社内システムの構築に入りました。9か月程度の準備期間を経て、リリースに至りました。

複業の制度について

複業に関する大前提のルールは「機密保持」「労働時間」「管理」の3つになります。「機密保持」の観点から、複業先は競合先でないこと。「労働時間」は運用面から、労働時間や給与計算、社会保険の手続きまで、手続き等が煩雑にならないこと。「管理」は組織運営において、不公平感が生じないこと。これら大きいルールの中に、また細かいルールを設けています。

複業開始にあたっては、上司への申請と承認が必要です。この時に、複業申請を出した人へ過重労労働回避等の確認もしています。その後、年に1回モニタリングを実施します。その時点での複業状況の把握が目的です。上司のチェックが入ることで、不安点のカバーにも役立てます。また、社員へのマニュアル教育も行っています。複業をする、しないに関わらず、日常的に所属部署での信頼関係や、上司と部下の意思の疎通は大切ですよね。社員向け複業申請マニュアルには「部下側からも信頼関係を構築していきましょう!」と載せています。新入社員で複業制度を活用している人もいますよ。新人だから制度の利用は無理、ということはありません。

合意形成までのプロセス

今振り返ってみると、グループとして正式に複業解禁が実現できたことは、大きな意思決定だったと思います。複業解禁の議論を進めていく中では、手段の先行や他社の動きに左右されず、私たちが大切にする大義を明確にすることや、目的や意思を統一することに時間をかけてきました。

新しい制度を進める過程で大変なことはたくさんあったと思いますが、困難を乗り切れたのは、パーソルグループに所属する社員一人ひとりが、「はたらきやすい組織をつくりたい!」という想いがあったからだと思います。はたらき方の柔軟性によって生まれる知見やキャリアは、「自分の『はたらく』は自分で決める」というパーソルグループの考え方に繋がって、結果として複業が会社の原動力にもなると信じていました。

「複」に込めた想い

弊社が「副業」でも「兼業」でもなく「複業」と表記しているのには理由があります。今は本業がパーソルグループである場合が大半ですが、本業が別にあって複業としてパーソルグループではたらくケースも出てくる可能性があります。パーソルグループでの役割を担いながら、自己成長したり社会に貢献したい方を応援するために「複業」としています。

もっと「パラレル(複)」にはたらきたい社員のためには、より柔軟な人事制度を設備する必要もあります。例えば、週に2日や、3日の勤務形態の社員が出てくるかもしれません。「複業」表記にこめた言葉の意味や想いを広げるためにも、今後起こりうる事柄を想定しながら、対応していきます。

複業解禁して感じる社員の変化や成果

パーソルグループ全体で複業制度を利用している人は、約350名です。人数だけを聞くと多く感じるかもしれませんが、グループ全体の社員数を考えると、母数が大きいので、まだまだこれから複業する人は増えてくると予想しています。制度担当者としては、申請が増えることは、制度が浸透している実感があってうれしいですね。

制度利用者の実際の声を詳細に把握するのは難しいですが、人事担当者からは、「キャリア自律」や「貢献実感」によい影響が出ていると聞いています。他の社員の複業内容を知りたいという要望も届いているので、情報を求める人や前向きに捉えたい人のポジティブな声に応えていきたいです。また、複業を実践している方の話を聞く機会も設けられていて、社内の興味関心の高さを感じています。

複業解禁に興味がある企業に向けてのエール

複業解禁に対する不安材料を100%無くす状態を作ることは難しいです。性悪説ではなく性善説でとらえて、複業・兼業に関する制度、基本的なルール、必要な設備を整えて、社員を応援してあげることが大切だと考えています。

会社が社員に伝えるメッセージも重要です。パーソルグループは、一人ひとりの多様なはたらき方・生き方を応援したい企業です。さまざまな「はたらく」を知ることで、どんな仕事も素晴らしいと思いながら複業に臨んでもらいたいと伝え続けています。そのメッセージを受け取って、共感した社員は正しい複業をしてくれるはずだと思います。

山崎 涼子
パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事企画部 部長

パラレルキャリア専門エール通信