内縁の妻が相続を受けるには?

教養部門 お金(相続)ライターの有賀郁子です。
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今は「家族のカタチ」も多様化しています。また少子化と高齢化により、高齢者を実質的にお世話する人が、必ずしも直系の親族ではないことも多くなっています。故人の一番近くにいた人。故人に一番尽くした人がそれまでの貢献に応じた財産を受け取るにはどうしたらよいのでしょうか?

故人の法定相続人ではないものの、深い関係にあった人に財産を与える方法は2つあります。

その一つが「特別縁故者」になることです。特別縁故者とは読んで字のごとく、故人と特別な縁があった人です。例えば親族ではないが、個人と家族同然に同じ家に住んでいた。長年個人の介護に尽くした嫁(義理の娘)、事実婚の関係だった夫または妻などです。故人がその方へのこれまでの感謝や、これからの人生の応援として財産を残してあげたい相手ですね。

しかし特別縁故者として認められ相続を受けるためには、多くの手続きが必要になります。
まず、一人でも法定相続人が存在していると、特別縁故者として遺産を得る権利がありません。
それから次の3つの手続きを行う必要があります。

1.相続財産管理人の選任・公告

家庭裁判所に相続財産管理人を決めてもらい、その人が故人に法定相続人がいないか、お知らせを出して、2か月間名乗ってくる人を待ちます。名乗り出る人がいなければこの関門は突破です。

2.相続債権者・受遺者に対する弁済請求申し出の広告

2つ目の公告手続きです。故人にお金を貸していたなど、返してもらうべきものがある人を、お知らせをだして名乗り出てくるのを待ちます。出てきた場合は個人の遺産から返済します。期間は2か月以上待ちます。

3. 相続人の捜索の公告

故人に本当に相続人がいないのか探す期間です。6か月以上公告を出して個人の相続人がいないのか確認する最後のお手続きです

この煩雑で時間のかかる手続き3つが終わると、次は特別縁故者として認められ、財産分与を請求するための3つのステップが待っています。

そのうちの一つは、いかに自分が故人にとって縁の深い存在であったかを、家庭裁判所でアピールすることです。特別縁故者として認められても、個人に対する貢献度の深さの判定により財産分与の割合が変わるので、貢献度を認められるためには、かなり信頼度の高い証拠資料の提出が必要です。

このように、個人に法定相続人がなく、家族同様に故人に深く尽くしていた人であっても特別縁故者として財産をすべて受けるには高いハードルがあります。特別縁故者と違い、故人の法定相続人でなくても簡単に遺産相続を受け取る方法があります。それは生前に遺言書をよういしておいて貰う方法です。遺言書に「私、○○○○の財産のすべてを△△△△へ渡す」とあれば、家庭裁判所も何の問題もなく検印し、財産がもらえます。(正式な遺言書の作成が望ましい)遺言書の作成は、ついまだ早い、もう少し先で良いと思いがちですが、お相手のために早めに用意してあげるのが思いやりですね。

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投稿者プロフィール

有賀郁子
有賀郁子合同会社インクリースオフィス代表者/ファイナンシャルプランナー&相続士
37歳の時、父の病をきっかけに、地元長野県に帰る。父の介護と他界、そこで遺されたお金を母の生活費のために運用しようとするが、リーマンショックもあり失敗。同時に失業で収入を失い、住宅ローンを抱えるという3重苦。
お金のことを知らなかった、だから失ってしまった。そして当時は誰にも聞けなかった経験から、私があの時会いたかったアドバイザーになることを決意し、9年目になります。
1967年4月生まれ。長野県諏訪市在住
セミナーやウェビナーを通して、今の時代の資産形成を「貯蓄セミナー」として伝え、資産を守り賢く引き継ぐために相続を円滑円満にするための相続セミナーも好評です。
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