相続税を賢く節約するには?

お金部門(相続)ライターの有賀郁子です。
今回から数回に分けて国が用意している節税方法をご紹介します。

どれも良い点と注意が必要な点があります。節税準備は、被相続人が存命の間にします。亡くなった時点でその人の相続財産が確定するからです。

【暦年課税】

これはよく聞く贈与税と同じです。お子さんやお孫さんなど、一人あたり年110万円まで非課税で譲ることが出来ます。人数の制限はありませんので何人に贈与しても大丈夫です。例えば、5人のお子さんとお孫さんに毎年110万円ずつ贈与すると、毎年550万円、10年で5,500万円、15年で8,250万円になりますから大きな節税となります。

気を付ける点は、それが明らかに相続税を下げるための行為とみなされないようにすることです。もし、そうみなされると連年贈与(定期贈与)ということになり、それまでの贈与額は初年度以降は課税対象となります。上の例では、10年の5,500万円に掛かる贈与税は約2,500万円。15年の8,250万円でしたら約4,000万円になりますから、相続税よりも高額になってしまいます。

暦年贈与とするためには、いくつか方法があります。

① 3年以上続ける。(相続発生時から遡って3年以内は全て相続課税資産に繰り戻されるため)
② 毎年金額を変える
③ 毎年贈与契約書を作成する
④ 何年かに1度は120万円の贈与として、1万円の贈与税を納める年を作る

私が今まで相談を受けた被相続人の親や祖父母の方の思いは、目先のことにすぐに使わず将来のために取っておいて欲しいということでした。受け取る人は、この思いを大切にして欲しいと思います。

【相続時課税制度】

60歳以上の親、祖父母から20以上の子や孫へ2,500万円まで贈与が可能な制度。これを適用させるには、適用する前年の確定申告の時期に税務署へ届け出が必要です。そのお金で子や孫が使った分を毎年報告することが求められ、相続発生時に残った金額は、課税評価額に繰り戻されます。

例えば、祖父が2,500万円を20歳の孫のためにこの制度適用のため申告し、大学の学費や車の購入費に充てたとします。毎年の報告時にこの費用を報告しますが、全て認められるかは税務署の判断となります。

また、数年後に祖父が他界し、2,500万円の枠の内、1,500万円が残っていた時、そのお金は全体の相続資産に戻されるため、結果として節税に仕えたのは1,000万円となります。

このように、いくら節税ができるかは、後にならないと分からない制度です。
それでは他の制度は次回に紹介させていただきます。

投稿者プロフィール

有賀郁子
有賀郁子合同会社インクリースオフィス代表者/ファイナンシャルプランナー&相続士
37歳の時、父の病をきっかけに、地元長野県に帰る。父の介護と他界、そこで遺されたお金を母の生活費のために運用しようとするが、リーマンショックもあり失敗。同時に失業で収入を失い、住宅ローンを抱えるという3重苦。
お金のことを知らなかった、だから失ってしまった。そして当時は誰にも聞けなかった経験から、私があの時会いたかったアドバイザーになることを決意し、9年目になります。
1967年4月生まれ。長野県諏訪市在住
セミナーやウェビナーを通して、今の時代の資産形成を「貯蓄セミナー」として伝え、資産を守り賢く引き継ぐために相続を円滑円満にするための相続セミナーも好評です。
パラレルキャリア専門エール通信

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