お金に賢く美しく05

マネーリテラシー講座(Vol.5)

 自分の人生を自分で選び、輝く女性にとってマネーリテラシーは必須です。マネーリテラシーを磨き、主導的に人生を楽しみましょう。

 さて、今回から順を追って「金融業界」の仕組みのお話をします。まず、代表例として証券(投資信託等)のお話をします。下の図を見てください。

 例えば、証券会社の場合、投資信託等の【商品】をたくさんのお客様に買ってもらうために、たくさんのテレビCMをしたり、ネット広告をしたり、きれいなパンフレットを使って一生懸命勧誘します。

 そして、お客様に投資信託を買ってもらうと、そのお金は「投資信託等の商品の【メーカー】」である運用会社等に入ります。その商品を販売した証券会社や、代理店(証券会社や銀行も代理店です)には販売手数料が支払われます。また、運用会社(メーカー)は、お客様から集めたお金を使って、株式や不動産等を安く買い、できる限り高く売って利益を出そうと努力します。これを運用といいます。

 運用がうまくいったときは、お客様から集めたお金(「元本」といいます)は増え、失敗したときは、減ります。でも、これはあくまでも「お客様にお返しするべきお金=元本」のお話です。運用会社は、運用結果に関係なく、「信託報酬」「管理報酬」等の名目で、一定の報酬を元本の中から差し引きます。また、運用がうまくいったときは、儲かった分の○%をボーナスとして差し引く「成功報酬」を設定している運用会社もたくさんあります。

 整理しましょう。お客様から集めたお金=「元本」。会社や銀行等・・元本から、一部を販売手数料として差し引く。運用会社・・元本から、「信託報酬」「管理報酬」「成功報酬」を差し引く。残ったお金が、お客様に変換される「元本」です。この元本を使って、株式や不動産等で運用を行い、運用の結果残ったお金がお客様に返還されます。

 いかがでしょうか?証券会社や銀行が投資信託を売るとき、運用成績には関係なく「販売手数料」が運用会社から支払われます。では、あなたが証券会社の社長であれば、どんな商品をたくさん売りたいと思いますか?お客様のために、運用成績が良い商品を探し出してくれる会社はとても良心的な会社です。でも、ほとんどの証券会社は「販売手数料をたくさん支払ってくれる商品」を売りたいと思うはずです。

 また、運用会社はいかがでしょうか?運用成績に関係なく、一定の報酬(「元本の○%」と設定している会社がほとんどです)を取る運用会社は、運用成績に関係なく、たくさんお金が集まれば儲かるのです。そして、たくさんお金が集まるようにするためには、販売手数料をライバル会社より多く支払えば他社の商品より優先して売ってくれる証券会社が多いという現実があります。

 この事実を、よく覚えておいてください。


株式会社リーガルデザイン
代表取締役 行政書士
吉崎 静

お気楽人生を送っていた25歳、大病を患い、3年間の闘病生活を送る。「働く」ことの喜びに開眼するとともに、人生設計におけるお金の重み、保険や年金制度等に興味を持つ。その後起業し、金融の仕組みを最大限利用してスピーディーに夢を実現する手段としてファンド組成や資金調達支援を行う会社を経営。同時に、金融リテラシーの大切さを伝えることをライフワークとしている。

株式会社リーガルデザイン
金融商品(投資信託・不動産証券・クラウドファンディング等)のスキーム構築や組成、コンサルティングを幅広く手掛ける。また、証券会社や年金運用会社等の顧問を数多く務め、コンプライアンスやガバナンス態勢構築を進めている。「ファンドは夢をつなぐ仕組み」をモットーに、起業家やベンチャー企業支援にも力を入れている。


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