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輝く女性 PICK UP! 私の働き方改革
諦めかけた子供の頃の夢をパラレルキャリアで叶える

─ January 2019

渋谷真澄

株式会社リクルートマネジメントソリューションズで、パラレルキャリアを実践している渋谷真澄さんに、始めたきっかけやパラレルキャリアを通して得られた充実感など、お話を伺いました。

チャンスがあるなら、やってみようかと思って

リクルートマネジメントソリューションズに入社して18年目になり、本業とは別に、一般社団法人宇宙エレベーター協会で理事をしています。協会での役割は、主に顧問やフェロー(主に大学の研究者や企業の経営者の方)の管理やイベント案内です。

また、協会で開催するイベントを海外でも展開するための検討委員会の事務局もしています。毎月開催される理事会では、各自に仕事が割り振られ、それを次回までに進めます。海外イベントの検討委員会も月に一回集まりがあって、そこでは議事録係をしています。

私が協会の会員になったのは、2010年からで、最初は、届く案内を見ているだけでした。あるイベントで会員向けにボランティア要請があり、場所も近くだったので参加してみたんです。実際に行ってみると、全然スタッフが足りなくて、運営するだけで手一杯のようだったので、私自身も楽しいし、何か手伝えるならと参加を続けていました。すると会長から、本格的に手伝ってくれるなら協会の意思決定に加われる理事になりませんか?と声をかけていただいたので、チャンスがあるならやってみようかなと思って立候補しました。

幸いにも多くの正会員から承認を得ることができ、2017年6月から理事に加わったんです。今、正会員は130人を越えるまで増えています。

始めたきっかけは、社会との繋がりを求めたこと

産休、育休制度で2年お休みさせていただいたんですが、その期間ずっと子供と夫以外の人とは話す機会がない生活をしていたので、もっと社会とつながるようなことをしたい、と考え始めました。仕事はもちろんですが、興味があることで、社会と繋がりたい、と思っていた時に、宇宙エレベーター協会を知ったんです。

子供の頃から宇宙には興味があって、宇宙飛行士になるのが夢でした。でも、宇宙飛行士になるには、自然科学系の大学卒業という条件があって、人文科学系だった私は、その夢を諦めざるをえませんでした。

宇宙エレベーターは、特別な訓練や資格を持っていなくても新幹線のように、乗っていれば宇宙に行ける仕組みを目指しているんです。もし実現すれば私も宇宙に行けるかも、と応援する気持ちが強くなって、パラレルキャリアで始めました。気軽に、応援するだけのつもりだったんですが(笑)。

最初にしたことは、まず環境を整えることです。理事として認めてもらうために、所信を考えなければいけませんでした。また、団体の登記に理事として名前を登録するので、印鑑登録したり、あと、ガラケーからスマホに変えたりいろいろ環境を整えました。

協会の理事をしたことで、会社と家の往復だけでは会えない人に会えるようになりました。宇宙エレベーター協会には、ものづくりをする工学系エンジニアの方が多くいらっしゃいます。夢を持っていて、技術を持っていて、研鑽していて、そんな頑張っているエンジニアの人たちに会うことで、いつも刺激を受けています。理事として協会の大きな意思決定に参加できることも、すごく手応えがあります。

例えば、海外イベントの実現に向けて、具体的にどういうアクションをするか話し合いがあり、候補地として上がったアメリカのネバダ州にロケハンする計画が出ました。でも実現できるか、まだわからないし、不確定なことに対して、そこまで高額な経費をかけられない、という意見もあり、理事で話が割れたんです。私は「チャンスとして、その機運が来てるなら、できなくても倒れるなら前のめりで行きたい。やるべきことを全部やってダメだったら諦めもつくけど、試しもせずに諦めるのは嫌だ」と考えを話しました。すると、じゃあ行ってみるか、という風に話が変わったんです!

去年(2017年)、私は会社を休んで、息子も10日間学校休ませて、すごい地の果てまで来ちゃったなと思いつつネバダ州の広大な砂漠に行ってロケハンしてきました。もし理事にならなかったら砂漠なんて絶対行かなかったなと(笑)。

仕事を引き受けすぎてしんどくなったことも・・・

当たり前なんですけど、副業でも責任が発生するので、引き受けすぎたらかえって迷惑をかけると思いました。ネバダ州に行った時は会計係だったので、会社で週5日働いて土日で清算をするというのを1ヶ月くらいやっていたので、しんどくなってしまって・・・。慣れない仕事で処理にすごい時間がかかって、一人でやるのがとても大変だったんです。もうちょっと仕事のもらい方を工夫すべきだったなと思いました。

誰かが困ってると「じゃあ私が」とつい言いたくなりますが、無理はしないように心がけてます。仕事も副業も段取りがものすごく大事だし、自分が引き受けるとしたら、どういうスケジュールでどういう風にできるか、とか、どこまでやることを求められているのか、事前にしっかり確認して引き受けるようにしないとダメだなと思っています。

私のやり方は数ある中のひとつだと気づかされた

副業している先で、全く違うスキルを開発しているというわけではなく、視点がひとつ追加されましたという感じです。改めて当社の働きやすさを実感したり、お客様になっていただいている会社の方々とお会いしたりすることで、仕事に張り合いが出ました。

私は、新卒から勤めているので、リクルートグループ的なやり方(リスクを恐れないとか、やるなら早いほうがいいなど)しか知りませんでしたが、会社以外の人との出会いで、私のやり方は数あるやり方の一つで、どれが正しいとか一番良いとかではなく、それぞれのやり方に理由があることを学びました。いろんな場面でも、相対化してとらえられるようになったのは、会社の外に出たことで、気付けたことだと思います。

継続していく上で大切だと身にしみたこと

スケジュール管理と言ってしまうと簡単ですが、やりたいことの時間をちゃんと取っておくことです。あらゆる状況を見越した上で、スケジュール管理、段取り、健康管理が大切だと思います。

宇宙エレベーター協会のイベントは、自分たちで設営するので、結構体力勝負なところがあって、健康状態が重要なんです。当日ちょっと具合悪くていけないとか穴を開けると、その代わりをする人を探すのも大変で、行くならその日1日を働く自覚を持っていかないとけないんです。

副業を辞めたいと思ったこともあります

会社と協会で忙しさが重なったり、本当に私は役に立てているのかな、と不安になったり、結婚記念日に協会のイベントの方へ行ってしまったり、そんな時に私のしていることは正しいのかな、とか(笑)。また、迷惑をかけないことだけを気にしている自分に気がつくことがあり、私は、なんのためにやるんだろう、と揺れることもあります。

でもそういう時は、出会った人や、得た経験を振り返ってみて、一時の辛さや自信のなさで手放すと二度と今の環境は手に入らないかもしれないし、途中で諦めるのはもったいない、と言い聞かせています。意識的に家族をイベントに呼んだり、協会の話をしたりするようにもしています。

会社から、仕事以外の時間を充実させましょう(花びらモデル)というメッセージを出してもらっているのは、パラレルキャリアの励みになってます。勤務時間も含め、バックアップをしていただけるので、この会社じゃないと難しいですね。会社にオープンにすることで、新入社員や他部署の人と接点ができることもあり、こうしてインタビューがきたりするので、面白いなぁと思います。当社は、働きやすい会社だと思います。男女の区別はあまりないし、子供がいても復帰されてる人も多く、制度は進んでいると感じています。

宇宙エレベーター協会については、ようやく自治体の協力も得られてきているし、私の力が必要とされている限り、理事としてやっていくつもりです。会社は好きですし、起業は考えていないので、いろんなプロジェクトに参加していこうと思っています。

パラレルキャリアを挑戦してみたい人へのエール

チャンスがあるなら、パラレルキャリアをやってみたらいいんじゃないかなと思っています。モヤモヤしているくらいなら始めてみて、嫌なら別の道を探せばいいと思います。始めてみると、絶対新しいものの見方や新しいご縁ができてきます。もし上手くいってもそうでなくても、いろんなことが新しい視点で捉えられるようになるので、体験してみたらいいと思います。

また、同じものを見ても受け取れる情報量が増えます。世の中の流れについてもこういうことがあるから、会社ではこうなんだな、とか、新しいところにアンテナが立ち始めます。実際にやってみることで新しいことや、新しい喜びに出会って、興味関心の幅が広がるので人として新しいステージに入れると思います。

渋谷 真澄(しぶや ますみ)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 事業開発部 パーソナルディベロップメントグループ/一般社団法人宇宙エレベーター協会理事

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