パラレルキャリアで女性が輝くための環境づくりに貢献したい

本業での責任とやりがい

 ロート製薬株式会社、品質統括部の大阪QAグループでグループリーダーをしています。QAとは、Quality Assuarance の略で品質保証という意味です。

 ロート製薬では、病気を治す医薬品から、直接肌に塗布する医薬部外品や化粧品まで、デリケートな製品を製造しています。医薬品や化粧品には特別な法規制があります。ロート製薬での原材料入荷~製造~出荷までの全工程において、その法規制に沿ったうえで製品の品質を保つ管理をする仕事を担当しています。安心・安全な製品をお客様の手元に届ける「最後の砦」とも言える責任ある部署で、まさに「次工程はお客様」です。常に緊張感をもって仕事と向き合っています。

 これまで、目薬の処方設計を行う研究部門や医薬品の申請業務を行う薬事部門などを歴任してきました。キャリアの中で開発から製品が完成するまでの全てに携われているのはとてもありがたいです。す。どの部署も内容に応じた面てきました。キャリアの中で開発から製品が完成するまでの全てに携われているのはとてもありがたいです。どの部署も内容に応じた面白さがあるので、本業もとても面白いです。

パラレルキャリアのきっかけになった学び

 2016年、子どもがちょうど大きくなったタイミングで夫の単身赴任が終わりました。ようやく自分自身の時間ができたので、「関西学院大学ハッピーキャリアプログラム女性リーダー育成コース」という、いわゆるリカレント教育に興味を持ち参加しました。

 このプログラムで1年間一緒に学んでいた女性の年齢層は20代後半から50代半ばまで。幅広い年齢の女性達にはみんなそれぞれの悩みがありました。その悩みを聞いているうちに、もっと女性が働きやすい環境づくりに携わりたいと思ったことからコース終了後に「関西学院大学女性活躍推進研究センター客員研究員」となり現在に至ります。

 こちらでの活動は、ハッピーキャリア講座の修了生のみが対象ですが、学びを継続し成長を続けること、及び修了生の交流の場の提供を目的として、数カ月ごとに学びの会「ハピキャリ塾」を開催しています。

 また、自分らしい生き方や働き方を考えるきっかけ作りになればと考え、女子大学生や中高生を対象とした企業イベントに講師として登壇しています。いずれも、「チャレンジする女性を応援する」ことが目的です。

 このような活動をしているのは、娘の存在が大きく影響しています。娘が将来仕事を始めた時に、思いきり働けるような環境が整っている社会の土台作りに貢献したいと思っています。

パラレルキャリア活動で困ったこと

 理系女子や学生に対して講師として登壇すると同時に、私個人が企画・集客するセミナーも開催しています。このセミナーはジェンダーバイアスやアンコンシャスバイアスなど、自分自身が興味のあるテーマを取り上げました。

 集客が伸びずに、場所代・講師代を差し引くと利益がほとんど出ないこともあります(笑)。人が集まるだろうか?と不安を感じることもありました。準備にかけた時間から考えると時給換算が怖いくらいです。活動で困っているのは、そこだけですね。

キャリアが認められて

 2016年に企業への貢献、社会活動、ワークライフバランスへの取り組みが評価され大阪商工会議所が創設した「大阪サクヤヒメ表彰」で活躍賞を受賞しました。

 パラレルキャリアでの取り組みも評価された結果でしたので嬉しかったですね。どんどんキャリアの幅が広がっていくことを実感しています。

パラレルキャリアのお陰で人生が豊かに

 私の場合は、本業とパラレルキャリアの内容が全く異なるので、本業だけでは出会えなかった仲間との出会いがプライスレスです。また頭のスイッチの切り替えもしやすく、デメリットを感じたことはありません。

 もし副業が解禁されていなかったら、ボランティア活動をしていたかもしれませんね。学生時代は養護施設の子ども達の遠足の引率のボランティアをしていました。

 きっと子供や女性に関わることにチャレンジして、キャリアの彩りを増やしていたのではないでしょうか。

パラレルキャリアを始めたい方へのエール

 とにかく行動してみることが大切です。パラレルキャリアと身構えなくても大丈夫。失敗したとしてもすべての軌跡がキャリアにつながります。たくさんの経験をすることで本業のステップアップだけでなく、確実に人生は豊かになります。本業があるなら、パラレルキャリアでの失敗は怖くない!そう自分の直感を信じてトライしてみてください。収入の有無にかかわらず、やってみたいことにチャレンジすることが大事ですね。

 また「こんなことをやってみたい!」と思った事もどんどん口に出して周りに伝えてみてください。アドバイスや協力を得ることで、有意義なパラレルキャリアを築くことが出来ると思います。私も子どもが小さいうちは育児と目の前の仕事でいっぱいでした。物事を諦めることもありましたが、時間とともに子どもは成長し手がかからなくなり、時間に余裕が出来てきます。無理をすると続きません。家族の理解や協力など環境を整えながら是非チャレンジしてみてください。 

女性活躍推進研究センター客員研究員

ロート製薬株式会社
品質統括部 大阪QAグループ
グループリーダー
藤田 朋子

(取材・写真 佐藤えり/ライター 西田雲雅/校正 紺野さおり/編集 川越多江)