パラレルキャリアで新たな自分の立場を発見

他の会社の業務がどうなのか知りたい

 ダイヤモンドメディア株式会社の管理部門全般を担当しています。特に注力しているのは会計周り。アカウンティング、ファイナンスを主に手がける一方、労務・法務などにも携わっています。

 副業については、現在お休みして本業に注力していますが、以前はベンチャー企業などに会計周りのコンサルティングを行なっていました。事業計画づくり、キャッシュフローシミュレーションなどのお手伝いや、ニーズによっては月次決算の入力や試算表の作成などに対応していた時期もあります。

 本業のダイヤモンドメディアは、ITベンチャーで、各種クラウドサービスやITツールなどを活用してバックオフィス周りの効率化と自動化を徹底的に進めています。そうすると、リモートワークでできる業務が増え、業務量自体も最適化されて、一時的に私のリソースが空いた時期があったんです。他社のバックオフィス業務がどうなっているのかを知りたい、学びたいという思いもあり、会社のメンバーにも話した上で副業を始めました。

パラレルキャリアで仕事の心がけが変わった

 パラレルキャリアを始める時は、周囲の知人に、「こんなことを副業で受けられるよ!」と伝えました。パラレルキャリアでの案件は全て知人からの紹介でした。

 とある企業で、バックオフィスまわりのIT化を進めるプロジェクトをお手伝いしたことが大きな成功体験になり、本業でも全体設計を常に心がけて仕事するようになりました。

 それまでは実務しか見ることができていなかったように思いますが「事業を伸ばす」という視点でバックオフィスのあり方全体を見て、自分の立ち位置を意識するようになったと思います。

何度も経験を重ねて最適化が見つかった

 仕組みが整っていない企業だと、蓋を開けて見ると、会計周りが全く整理されていない、ということはザラにあります。
 そもそも情報が一元化されていなかったり、ブラックボックスになっている部分を整理して理解するまでに想定外の時間がかかり、見積もりを大きく上回る稼働時間になってしまったことも。その時は、一時的に業務負荷が上がってしまってきつかったですね。

 でも、実際に何パターンか同じようなケースを経験して、共通パターンが見えたんです。そこから、関係者に対して、いくつかのプランを提案できるようになりました。
 プロジェクトとしてのゴールを明確にし、初期費用をいただくようにするなど、クライアント側の期待値と私のやりがいのバランスをうまくとっていけるようになり、乗り越えられたように思います。

本業に対しても相乗効果が出てきた

 「事業を伸ばす」という視点でバックオフィスのあり方全体を見て、自分の立ち位置を意識するようになった点が一番大きい成果だと思います。
 また、全体設計を意識するようになったことで、「人を育てる」という視点も身につきました。自分が握っている仕事をどんどん移譲して、中の人を育てるというマネジメント視点が身についたことは、相乗効果だったと思います。

会社にオープンだから時間管理がしやすかった

 私の場合は、会社が環境的に、副業OKにしている、ということもあり最初からオープンにやっていたことで、あまり時間捻出の悩みなどはありませんでした。社名や具体的な案件の内容は言わないとしても、「今度からこういうプロジェクトにかかわるんだ」と話しておくことで、こころおきなく取り組むことができました。

 変に本業の人に隠してヒソヒソやろうと思うと、副業で想定外の時間が発生した時などに隠そうとしなければならなくなります。また、私が手がけていたのは、決められた業務時間や時間課金で対応する案件ではなかったので、比較的調整はしやすかったように思います。

パラレルキャリアをしてよかったこと

 他の会社を見たことで、視野が広がったことが何よりも良かったことですね。
 また、自信も身につきました。転職活動をせずとも市場環境にさらされ、「自分」に対して支払われる金額を実感したことで、自分が一人の人間として、世の中のどんな場所で必要とされるのかを客観的に見ることができました。

 独立や転職を考えるわけではないけど、「人生をどう設計しようかな」「転職するならこういう選択肢もあるな」と考えられたことは、今後の人生を考えていく上でとても重要だと思います。

パラレルキャリアを始めたい人のへエール

 副業やパラレルキャリアが向いているかどうかって、性格にもよると思うんですよ。「一つの場所でコツコツやる」という人と「いろんなことに挑戦してみたい」という人では、同じ副業を考えるにしても業種などについて検討が必要ですよね。

 ただ、どうしても同じ会社に居続けると、「やりたいポジションがない」とか「同じパターンしかできない」といったことも増えてくると思います。そういうときに思い切ってチャレンジしてみると、新しい世界が開けてくるかもしれません。ただし、本業の方をおろそかにしてはいけない、というのが前提にあります。副業をする、というのはそういった意味では厳しい側面もあると思います。

ダイヤモンドメディア株式会社
中根 愛